COLUMN
探偵にできること・できないこと。 浮気調査では、どこまで分かる?
浮気調査で、一緒に食事をした写真が撮れた。それだけで浮気と断定できるのでしょうか。会った事実と不貞を裏づける記録の違い、相手の氏名や住所を確認する調査、一日の記録では分からないこと。依頼前に知っておきたい調査の範囲をお伝えします。

一等席には、探偵は立てない。
最初に言っておきます。浮気調査では、誰と会い、どこで、どれくらい一緒に過ごしたかを調べ、確認できた行動を写真・動画や報告書に残すんですね。 相手の氏名や住所を確認できる場合もあります。ただし、一日の行動だけで関係の始まりや気持ちまで分かるわけではなく、必ず証拠が取れると約束することはできないんです。
代表の森田です。
「出張と言って出かける日に、本当はどこにいて、誰といるのか」。今回は、この問いを仮の場面として説明しますね。
会っていたことと、浮気の証拠は分ける
大阪へ行ったのか、別の場所へ行ったのか。誰かと待ち合わせ、その人と食事をしたのか。そこは、行動を追って確かめます。
ただ、食事をしたところで、こちらの仕事が終わらないんです。
(食事だけで、帰るのか?んな訳。。)
二人で別れるのか、そのあとも一緒に移動するのか。確認したいのは、その先ですからね。
一緒に食事をした写真は、食事をした事実。それだけで性的な関係まで断定はできません。
一方、二人のラブホテルへの出入りや滞在時間などの記録は、不貞行為を裏づける資料になり得ます。
室内の行為そのものを撮っていなくても、判断の材料になる記録はあります。状況証拠の積み重ねというやつです。 誰が、いつ、どこに入り、いつ出たのか。人物と日時が分かる写真・動画や行動記録をそろえます。裁判で何が認められるかは、ほかの証拠や事情も含めて判断されるんです。
その夜は仕事先へ行き、ほかに誰とも会わず帰ったなら、その行動を報告します。こちらが気になったことと、相手が実際にしたことは、分けておかなければいけません。
相手の顔が写っても、名前と住所は別に確かめる
相手を撮影できたことと、その人の氏名や住所が分かったことは、別です。 帰宅先を確認できても氏名まで分かるとは限らず、訪問した家を自宅と取り違えない確認も要ります。
これは別の調査なんです。
相手が誰なのかまで知りたい場合は、行動の確認と、適法に得られる公開情報・資料などを組み合わせて調べます。どこまでの特定を求めるかは、調査前に相談しておくことをオススメします。
聞込みも、近くの人に聞けば分かる、では済みません。昔と今では違うんです。
あなたは同じマンションの住人の、顔も名前も知っていますか? これは地域性もありますが、都内では、お隣の顔も名前も知らないことがあります。この生活圏による情報収集はエリアによって大きく分かれます。 公開SNSで人や場所のつながりを調べることと、その人へ接触して話を聞くことは別の作業なんです。勤務先や知人への質問の仕方によっては、聞いた相手に警戒されます。本人に伝われば、調査対象者にも警戒されます。熟練の技術が必要となる場面です。
仮に、聞いた話の中で「タナカ」という名前が出てきたとします。
(名前は聞けた。けれど、いま見た人の名前なのか)
直接見た出来事なのか、誰かから聞いた話なのか、その人の印象なのか。聞いた内容を分け、ほかの記録と照らします。名前が一つ出てきたことと、撮影した人が誰か分かったことを、同じにしないためです。
一晩の記録で、過去の夜までは埋まらない
出張と言われた日に相手と会う姿を確認しても、その一日だけで「春から続いていた」「毎回の出張で会っていた」とまでは言えません。過去の資料や聞込みから確認できる場合はありますが、何が残っているかによって調べられる範囲は変わります。
また、調査した日に会わなかったからといって、過去も別の日も浮気がなかったとは証明できません。報告するのは、調べた期間に何が確認され、何が確認されなかったのかです。
いつ、誰と、何をしたかを確かめることと、なぜそうしたのかを知ることも別です。第1回で書いた、心は尾行できない、という話です。
一等席には、立てない
建物に入るところを確かめる、と考えた瞬間に、私の頭の中では、もう場所選びが始まっています。
(向かいのマンションの三階。あのベランダからなら、入口が真正面に見える。植え込みも邪魔にならない。理想的だ)
一等席です。そして、その一等席に、チケット売り場なんて存在しないんです。
そこは、よその家のベランダです。探偵業の届出をしても、勝手に入る権限はもらえません。
警視庁も、対象者を見張るために付近の住民宅の敷地へ許可なく入れば、住居侵入罪などが成立すると説明しています。相手の端末やアカウントへ無断で入ることも、探偵の肩書きが許してくれるわけではありません。
見たい場所が、立っていい場所とは限らないということ。
頭の中で押さえた一等席を、キャンセルする。立っていい場所の中から、見える場所を探し直します。
……それでも、向かいのマンションの三階が、まだ少し気になっています。
関連:第007回 問いただしたら、手がかりが消えた。/第006回 探偵が依頼をお受けしないのは、どんなとき?/第001回 探偵はどんなことを調べるのか/ご相談・面談の流れ
参考